この記事には囚われのパルマRefrainエンディングのネタバレが含まれます。
ご注意ください。
チアキの選んだ道
END3で相談員と再会したチアキは、自分の現在について「前と同じようなことをしてる」と答えています。ユーゴとしての彼はCIAに雇われて諜報員をしていました。そのことから考えると、チアキは諜報活動をしていると考えるのが自然です。
過去と決別し、島を出た後はこれまでの生き方を変えてほしい。自分の幸せを一番に考えてほしい。そう望んでいた相談員の方が多かったなか、END3でチアキが諜報員を続けていると分かったときはTLに衝撃が走ったことを覚えています。
しかし、チアキは「同じこと」ではなく、あえて「同じようなこと」と表現をしています。それは、「前と全く同じことをしているわけではない」からだとも考えられないでしょうか。
そこで私は、チアキは諜報員として「黄金の蜂計画」に関わる情報を集めている、という仮説を立てました。
物語の終盤、無印版パルマで活躍した狩谷看守が登場します。狩谷はハルト編で「プロジェクトベアトリーチェ」において違法な実験が行われていたのではないかと潜入調査していたことが分かりました。
チアキは「黄金の蜂計画」に巻き込まれた当事者であり、プロの諜報員でもあります。そんなチアキの存在は狩谷にとって好都合だったでしょう。狩谷とチアキが何らかの取引をし、互いに協力することになった可能性は十分にあると思います。
また、チアキの事件を通して別々に動いていた五十鈴大使・河内と狩谷の組織と繋がり、それによって「黄金の蜂計画」の真相を突き止めることができた、という熱い展開もあり得るでしょう。
チアキにも「黄金の蜂計画」を解決したいと思う理由がありました。
- 両親が名前に込めた願いを知り「ひとを助け」たいと思った
- 恩人である五十鈴大使と河内さんの役に立てる
- 相談員が安全に暮らすには事件の解決が必要
つまり、「諜報員」という職業自体は以前と同じだけれども、諜報活動をする動機は全く異なっているのですね。そのことが、「前と同じようなことをしてる」という含みを持たせた言い方に繋がっているのだと思います。
特に、相談員は一般人でありながら、「黄金の蜂計画」という国家の機密情報に触れてしまいました。本人には知らされないまま、本土に戻ってからも保護を目的とした監視が続いている可能性もあります。そんな彼女が本当の意味で安全に暮らすためには、事件の真相究明と解決が必要です。
厳しい環境を生き抜いてきたチアキにとって、相談員は生まれてはじめて心の底から愛することができた女性でした。しかし、島を出る際にチアキは相談員と離れざるを得ない状況に陥りました。そのなかで相談員のために自分にできることを考えた結果、チアキは強い意思を持って諜報員に戻ったのだと私は解釈しています。
リス公とチアキ
パルマRの本編では「リス公」と呼ばれるリスが登場します。
このリス公は、チアキと同じように怪我をしているところを相談員に発見され、保護されます。 そして、チアキの回復に合わせるようなリス公も回復して、森へと帰っていく。 明らかにリス公とチアキとのイメージが重なるように描かれているのです。
そして、ハルト編で事件解決の鍵である温室に相談員を導くのは「リス」です。
リス=チアキのメタファーだという前提をもとに考えると、END3のチアキがハルトの相談員を探して連れて来たのではないでしょうか。もしそうだとするならば、END3のチアキは自身の能力を最大限に活かし、彼にしかできない役割を果たしたといえます。
END3は事件を解決するTrue End?
パルマシリーズでは、エンディングによってパルマ男子が選ぶ職業も違います。
彼らがEND3で選ぶ職業は以下のとおりです。
- ハルト/科学者
- アオイ/写真家
- チアキ/諜報員
どのエンディングがハッピーエンドで正解だということはないのですが、END3は総じてそれぞれのパルマ男子が自分の才能を最も発揮できたエンディングだと感じました。
その結果として、チアキが諜報員として黄金の蜂計画の真相を暴くための情報を集め、アオイが写真家として被験者たちを取材、撮影して事実を世間に広め、ハルトが「プロジェクトベアトリーチェ」について証言すると共に化学者として新薬を開発、被験者を救済という形で一連の事件が収束したのではないかと想像しています。
才能を発揮することや事件を解決することが必ずしも本人の幸福であるとは言えません。END1、END2の方が一連の事件から開放されて、個人としての幸せを追求できているような気もします。
せめてハルト編で事件が解決した後はチアキも平穏な日常を送っていてくれたら……と思いますが、「黄金の蜂計画」以外でもなにか重大な事件があれば放ってはおけないのかもしれないとも思います。
それでも、私はEND3のチアキカシマが最高に格好いいと思っているし、すべてのエンディングのなかで一番好きです。